23年度税制改正大綱

先週のことになりますが、12月16日に平成23年税制改正大綱が閣議決定されました。主な内容は次の通りです。
法人税
・法人実効税率引き下げ:法人税国税)30%→25.5%に
 国内企業の国際競争力強化が主目的であり、赤字もしくは所得の少ない多くの中小企業へのプラス効果はあまりないでしょう。
・中小企業軽減税率引き下げ:18%→15%
 800万以下の所得にかかる税率なので、最大800万×3%=24万の減税。
減価償却費制度の見直し:定率法の償却率は、定額法の償却率の2.5倍から2倍に縮小
平成19年度改正で、設備投資を促進し、生産手段の新陳代謝の加速化により、企業の国際競争力とわが国の経済の持続的成長を維持するために、ということで導入した新しい減価償却制度をもう変えるんですね。
・欠損金の繰越控除制度の見直し:中小法人を除き、欠損金の繰越控除限度額を80%に制限、一方繰越期間を7年から9年に延長します。
 資本金1億円以下の中小法人については、繰越期間の延長メリットだけを享受できるようです。
・雇用促進税制:従業員のうち雇用保険一般被保険者の数が前年度に比べ10%以上、かつ5人(中小企業は2人以上)以上増加した企業に対し増加1人につき20万円を控除

○資産税
相続税基礎控除引き下げ:「3000万円+600万円×法定相続人数」に縮小
 これにより、なくなられた方に対する課税件数割合は、4%から6%程度になる見込みだそうです。配偶者と子ども二人のケースでは、基礎控除が8000万から4800万になるので影響は結構大きいと思います。
贈与税の見直し:最高税率を現行の50%から55%に引き上げ

所得税
・給与所得控除の見直し:年収1500万円超は245万円を上限とする
・役員給与等に係る給与所得控除の見直し:年収2000万円超はさらに控除額を最大1/2まで圧縮する
 上記二つは、22年度改正で業務主宰者役員給与の損金不算入制度を廃止する際に予告していた法人段階と個人段階での二重控除問題解消のための措置です。
・成年扶養控除(23歳から69歳)の見直し:年収568万円超の場合、控除を廃止・縮小
成年者は独立して生計を立てるべきとの趣旨。
・証券優遇税制の延長:上場株式等の配当等及び譲渡所得等に係る10%軽減税率の適用が2年間延長
・勤続年数5年以下の法人役員等の退職金について、1/2課税を廃止

○消費税
・事業者免税点制度の見直し:前年課税売上高が1千万超の事業者は免税点制度を適用しない
・課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入等の税額を全額控除できる制度は、課税売上高5億円以下の事業者に限定

大綱の全文は下記
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2010/h23zeiseitaikou.pdf