26年度税制改正大綱

 昨日、自民、公明両党が、26年度の税制改正大綱を決定しました。新聞等にもそのポイントが掲載されていますが、ここでは中小企業やその経営者に特に影響がありそうな項目をピックアップしてみます。
○復興特別法人税の1年前倒し廃止(減税)
 経済の好循環を早期に実現する観点から、足元の企業収益を賃金の上昇につなげていくきっかけとするために、復興特別法人税を1年前倒しで廃止することになりました。

○所得拡大促進税制の拡充(減税)
 上記と同様の観点から、雇用を増やしたり賃上げをしていく企業を一層支援するため、所得拡大促進税制を拡充することとしました。

○交際費課税の見直し(減税)
 景気対策の一環として、消費の拡大を図る観点から、交際費課税の見直しを行い、大企業にも飲食のための支出の50%の損金算入を認めることにしました。

○給与所得控除の見直し(高額給与所得者への増税
 実際の給与所得者の勤務関連支出に比しても、また、主要国の概算控除額との比較においても過大となっていることから見直しが行われることとなりました。28年より段階的に給与所得控除の上限を段階的に下げていきます。

○生産性向上設備投資促進税制の創設(減税)
 産業競争力強化法の制定に伴い、同法の施行日から平成29年3月31日までの間に、先端設備及び生産ラインやオペレーションの改善に資する設備への投資を行った場合に、特別償却または税額控除を選択することができるようになります。

○少人数私募債の利子所得の20%源泉分離課税の廃止(増税
 あまり報道されていませんが、同族会社の私募債発行による節税が完全に封じられることになりました。現在は、私募債の社債利息については20%の源泉分離課税で課税関係が終了するので、高額所得者にとっては大きな節税効果が得られていました。
 これについて平成28年1月1日以降に支払いを受けるものについては総合課税により計算しなければならなくなりました。

○ゴルフ会員権、リゾート会員権の譲渡損の損益通算の禁止(増税
 ゴルフ会員権等の売却により損出しすることにより所得税を大きく節税できることが以前から問題視され、これまで何度も年末になると改正の噂が出ては消えていました。これがついに今回の改正されることになりました。
 適用は26年4月1日以降の譲渡についてなので、含み損のあるゴルフ会員権を保有している人は26年3月31日までの譲渡を検討してみる必要があるかもしれません。

○消費税の簡易課税制度のみなし仕入率の見直し(増税
 実態とのかい離を是正するため、消費税の簡易課税のみなし仕入率についての次の見直しが行われることになりました。
 金融業及び保険業(第5種事業):60%→50%
 不動産業(第6種事業)    :50%→40%